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Report#009

2007/10/29シーバス捜査報告書

長い間サイトは更新していなかったけど
今年はかなり本格的にシーバス捜査に取り組んでいた。
東京湾という世界的にも有数の大都会に隣接するその海で、
一人の人間が誰の情報も頼りにせず己の力だけでどれだけの魚と出会えるか。
もちろん道具も自分の手で生み出したハンドメイドルアーとロッドとフック。
ルアーの完成度もいよいよ前人未到の領域へと突入し、
それまでのルアーの持つ物理レベルを遥かに超えた感触がある。
もう目の前に誰もいない。
ただ一人、干潟で魚と向き合う。
これは挑戦だった。

その結果、
昨年365日のうちシーバス捜査日数が41日間
総検挙数、約150本。(フッコ以下は除外)
ランカー9本

結果ももちろんだが良い仲間にも恵まれ
こんなにも充実した釣りをしている者はなかなかいないんじゃないかと本気で思う。

しかし、ここ船橋も時代の波には逆らえず
今年の初めからやたら人が増えた。
プライドの無いアングラーは後を付けポイントを人に教え、
モラルの無いアングラーは挨拶もなしに真隣に入る。
顕示欲ばかりのアングラーはキープもしないのに魚をストリンガーに掛け、
デットリリースした魚が私の脇を流れる。

こんな状況に嫌気がさし更新を止めた。

2008年度もこのまま休止状態で行こうと思った。
更新をすると現場が荒れるし何より魚に迷惑が掛かってしまう。
しかし一匹の魚との出会いがその想いを変えた。


その日富津署署長から一通のメールが届いた。
「今晩一緒にはいりませんか?」

事前情報によるとものすごいデカイやつがいて
二度ほど掛けたがフックが折られ捕れなかったそう。
私のルアーは全部ジギング用のシングルフックだし、
ロッドもルーミスのスティールヘッド用の強いブランクを使っているから
スナップとリーダーだけ強いものにして現場入りした。

その日はなかなか渋く二時間くらいやっても60台が2〜3本と不調で
集中力が切れ掛かったそのときだった。
パカミノー125でアマモとアマモの間をトレースしていたら
何の前触れも無く「ドスン」と動かなくなった。
ロッドを煽ると同時に走り出し、
リールのドラグは全く役に立たなかった。
しばらくエラ洗いもしなかったのでサメか何かだろうと思った。
今までこのタックルでランカーを何本も捕っているから
この引きはシーバスではない。

しかしその予想は見事に外れる。
ヒットポイントから半分くらい巻いたところでその魚が水面から姿を現した。
これまで聞いたどのエラ荒いとも違うトルクフルな響き。
頭の大きさからメーター級だと確信した。
シングルフックなのでバレることは無いと思いつつ慎重にファイトをする。

しばらくして寄ってきたシーバスをハンドランディングしに掛かる。
一度目のランディングは思いっきり右手で掴んだはずなのにいとも簡単に振りほどかれた。
持ってきたラパラのフィッシュグリップもまるで役に立たない。
まるで犬。
飼い犬と戯れているときのパワー感。
しようが無いのでロッドを脇に挟み両手でランディング。

pic1

見事検挙したのはブリブリの96cm
(後で富津署署長がちゃんと検量してくれたら99cmだったが
私は釣ったその場で持ち上げてメジャーを宛がい概数で測るだけなので
ここでは96cmとしたい。)
ウェイトはボガグリップでは身体を1/3水中に残しメーターを振り切ってしまい計測不能
推定9kg
ランカーを通り越してモンスター
今まで釣ってきたどの魚とも違う。
まるでアカメかバラマンディの様な重量感のある身体。

pic2

試しに口の中に手を入れる。
グーどころかパーでも入る。
確かにこの口ではトレブルフックではそもそもゲーブが狭すぎて口の内側に周り込まないし、
辛うじて掛かったとしても針先しか刺さらず伸ばされてしまっていただろう。
同じ魚でもサイズが異なるだけでこんなにも変るのだから
モンスターを狙って捕りたいのであれば
これまでのシーバスタックルの概念を根底から変えなければならないだろう。

私がこれまで理想のシーバスタックルを追い求め作ってきた
ルアーやロッドやフックは今日この日のためにあったのかも知れない。
そう思うと今まで無駄に思えた小さな努力の積み重ねがこの魚で報われた気がする。
別に市販の物を使いたくないわけではなく
ただ使えるものがないから自分で作る。
その全てが完璧なバランスを保って
一匹の魚と出会う。

IGFAルールで何ポンドで大きい魚を捕ったとか
そういう顕示欲の世界でなく
あくまで人と魚との一対一の真剣勝負。
そこにあるのは魚を釣りたいんだという純粋な想いのみ。
そこに至るまでのプロセス。
その果ての世界。

pic3

あらためてその美しい魚体を眺める。
素晴らしい仲間が栄誉を称えてくれる。
つくづく自分は幸せな釣り人だと、そう思う。

タックルデータ
ルアー:パカミノー
ロッド:パカロッド86
リール:ツインパワーC3000
ライン:PE22lb+シーガーエース8号